Lawton Green 2017年9月22日
近年、航空宇宙業界では飛行機利用の増加と一時衰退していた防衛セクターの復活に伴い、民間機の需要が増加。A350、ボーイング787などのワイドボディプラットフォームの製造が進む中、777xおよびA330 neoなどの新世代モデルの発注も増加しています。
しかし、専門家たちはこの傾向が利幅に影響を及ぼすという下降圧力は見逃している模様です。今、相手先商標製造会社(OEM)は最新型プラットフォームの製造量を増やし始めており、航空宇宙業界特有の周期的な需要モデルに対抗するために「エンジニアリングソリューションのグローバル化」が現実化。また新しいアジャイル型ビジネスモデルも続々と登場しています。
OEMメーカーがこれに最適なサービス・デリバリー・モデルに照準を合わせるためには、以下の要素が重要となってきます。
航空機OEMは燃費向上、環境負荷の削減、最高レベルの安全性の確保など、主要コンポーネントに求められる要素をうまく設計に昇華させる必要があります。これらすべての要素を継続的に改善させながら、質の高いソリューションを速く、そして安価に提供することが今求められています。
航空機の一般的な寿命が40年超ということを考えると、機体のメンテナンスと点検といった設計後期の作業が非常に重要となってきます。資産の保有者である航空会社やリース会社も、これをふまえてメンテナンス費用と製品の信頼性に特に重きをおいています。たとえば、ロールスロイス社の有名なアフターサービスモデルであるTotalCareは、エンジンOEMに航空機の飛行時間単位で固定料金が支払われるため、信頼性を向上しながら自然と利益回収が可能となる仕組みです。ロールスロイス側では製品のライフサイクルを通じて包括契約を結ぶことと引き換えに、製品運用にかかる追加/予期せぬコストといったリスクを負担します。
今、このコンセプトが航空機OEMからサプライヤーへと流れ始めつつあります。作業パッケージのスコープと納品物を明確に定義することにより、サプライヤーはロールスロイスの例と同様、パフォーマンスが上がれば利益アップ、不具合が出ればそのコストが自社負担となるため損失に、というモデルのもとで開発を進めることとなります。この仕組みが幸いし、結果として開発期間の短縮や予期せぬコストの回避につながっています。
フル統合型のパッケージを自律的に納品する、というシンプルなコンセプトは顧客にとっては非常に大きなメリットとなりますが、OEM側としてもサプライチェーンのすべてを手放す訳にはいかないというところが難しい部分でもあります。これは顧客に特有の行動特性であり、TotalCareのようなサービスが始まった際にOEMが自身の顧客について最初に感じる部分でもあるでしょう。しかし今は民間機・防衛部門双方においてこのような仕組みが歓迎される傾向があります。そのため、「製品パフォーマンスの期待に応えることによるリスク価値」というこのコンセプトはエンジニアリングサービスのサプライチェーン全体において今後広がっていくことでしょう。サービスプロバイダ各社にとっては、より大規模かつ複雑な統合型パッケージを獲得するまたとない開発チャンスでもあります。ここでどう価値を作り出していくかを、今後に向けてしっかりと考えることが大切です。