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Medical Devices

Android、医療機器開発の新たなフロンティアへ

2007年11月、Googleがスマートフォン用OS「Android」をリリース。それ以来、Androidは驚異的な大躍進を遂げ、スマホOSとしては最もポピュラーな存在となりました。

QuEST Global              2016年4月19日

 

2007年11月、Googleがスマートフォン用OS「Android」をリリース。それ以来、Androidは驚異的な大躍進を遂げ、スマホOSとしては最もポピュラーな存在となりました。

 

Androidが多くの業界で活用されている中、一歩立ち遅れているのがヘルスケア業界です。元々新技術の導入が比較的遅い業界ではありますが、規制の厳しさが壁となり、通常は技術が成熟するまで待ってからやっと導入、という流れが主流となっています。しかし、過去数年においては医療機器へのAndroid OS導入ニーズが劇的に増加。QuESTはこのニーズを受けて、ウェアラブル端末やさまざまな医療機器用のAndroidアプリの開発で世界をリードしてきました。アプリ開発でAndroid OSが選ばれる背景には2つの理由があります。ひとつはAndroid搭載端末が業界で広く浸透していること、そしてユーザーエクスペリエンスの向上が期待できること。これらの要素をもってして、Androidは医療界で人気のOSとして一躍知られるようになりました。

 

では、医療機器の開発サイドにおいてAndroidが歓迎される理由は何でしょうか。

大きく5つに分けてご紹介します。

 

Androidのメリット

  • UI・UXの向上

医療用ソフトウェアは従来、見た目や操作性に優れていないことで有名でした。医療機器の組み込みシステムはほぼすべてが独自技術で構築されており、開発者側が優れたGUIソリューションを持っていたとしてもその適用は難しかったのです。それゆえ開発の主眼はコア機能の構築に置かれ、UI設計やディスプレイ表示については後回しにされる状況でした。結果としてデザイン性に優れないシステムばかりが出来上がってしまうこととなったのですが、ユーザビリティが低いと製品全体の操作性にも悪影響が及びます。AndroidならレイアウトツールでUI/UXの構築が可能という点で、この課題を解決することができました。

 

  • 安定性抜群・高品質のオープンソースソフトウェア

Androidは何百万台という携帯電話に搭載されており、その品質と安定性は既に実証済です。また、オープンソースソフトウェアとしてもバグ追跡や特定のバグ修正に特化したデベロッパーコミュニティなどのユーザーサポートが充実しており、ソフトウェアの開発、デバッグ、テストを迅速に進めることができます。

 

  • デベロッパーフレンドリー、かつ低コスト

Androidでの開発はそこまで複雑ではないため比較的敷居が低く、デベロッパーが参入しやすいというのもメリットのひとつです。またオープンソースのため低コストでの開発が可能です。

 

  • 高度なネットワーキング&通信性能

Android OSは元々スマホ用として開発されたため、デバイスの通信およびネットワーキングに強いというメリットがあります。さまざまな有線・無線通信プロトコルに対応するライブラリが用意されているほか、有名メーカー製無線機器との通信サポートや専用ドライバも充実しています。AndroidのミドルウェアとJavaツールの組み合わせにより、より高度なデータ交換や相互運用などあらゆる可能性を切り拓くことができます。

 

  • タッチスクリーンをサポート

Androidはタッチスクリーン専用に開発されたOSです。以前の医療機器開発ではタッチスクリーンのインターフェース開発が課題となっていたところが、Androidならスクリーンの設計・開発を簡単に行うことができます。

 

上記のようなメリットは多数あれど、Androidにまつわる課題もいくらかは存在します。ここからはAndroid導入の壁となりうる主要な課題についてご紹介します。

 

規制、サイズ、信頼性の壁

医療機器はその他の端末と異なり、一歩間違えば患者の生命に危険を及ぼす可能性を常に秘めています。米国食品医薬品局(FDA)ではすべての医療機器を、患者へのリスクと準拠している規制の度合によってクラスI、II、IIIの3つに分類しています。またAndroidは比較的重いOSであるため、軽くテストしやすいOSに比べるとエラーの頻度が高く、信頼性に欠けると判断されることもあります。さらに、医療界では「すぐに、安定して使える」機器が欲されているため、他業界では許容可能な「年1回再起動してソフトウェアの修正を行う」などといった状況が、医療機器にとっては大問題となります。特に、冷凍植込み型除細動器などのクラスIII機器ではこの規制もより厳しくなります。

 

そのため、AndroidはクラスI・II機器での使用に適しており、クラスIIIではより軽く信頼性の高いその他OSが好まれる傾向にあります。ただし各機器により規制や要件が異なるため、医療機器開発においては、機器クラスにかかわらず各OSの特徴とリスクをしっかりと理解・検討した上で設計を進めるのが得策です。

 

Androidの快進撃なるか

次世代のモバイル・ヘルスケア施策が注目される今、医療機器のデベロッパーにとってAndroidは紛れもなく大きな可能性を秘めた存在です。ヘルスケア業界でもAndroidは根を下ろしはじめていると言って良いでしょう。ただし、医療機器開発においては起こりうるすべてのリスクを考慮した上で、その先にある課題の解決に努める姿勢が不可欠です。適切なパートナーと密に連携するなどし、規制準拠のみならずシステムの信頼性と長期的なパフォーマンスを兼ね備えた製品を追求することが重要となるでしょう。